不動産の価格を知る方法はいろいろありますが、
その中のひとつに「取引事例比較法」と呼ばれる方法があります。
そして取引事例比較法で算出された価格のことを「比準価格」といいます。
ここでは取引事例比較法による物件の「比準価格」がどのように計算されるのか解説します。

取引事例比較法とは?

対象の物件と条件が近い取引事例を収集し、その中から適切な事例を選択、補正や修正を行いながら求められた価格を比較考慮して対象の物件価格を求めます。

不動産の価格を査定するにあたり、最も基本的な査定方法として使われています。

取引事例は過去の売買価格を利用するので、どのような取引事例を選ぶかが重要になります。

たとえば大阪の物件の比準価格を求めるのに、東京の取引事例はほとんど参考になりません。
大阪市中央区であれば大阪市中央区の取引事例を参考にします。
同じ地域内でも近隣であればあるほど、より正確な価格が算出できるでしょう。

取引事例比較法の計算方法

計算方法は具体的には以下の計算式で求められます。

比準価格 = 取引事例の価格 × 事情補正 × 時点修正 × 標準化補正 × 地域要因比較 × 個別要因比較

以下それぞれの項目について説明します。

取引事例の価格

選択した取引事例の物件の価格のことです。

事情補正

所有者の破産によって安く売られたり、投機目的で高く買われたりなどの「売り急ぎ」や「買い急ぎ」といった特別な事情を考慮します。

時点修正

不動産の価格は常に変動しています。

過去に行われた取引の時点と、評価を行う時点が離れていた場合は変動を考慮する必要があります。
たとえば、過去の取引事例から2年経過していれば、2年分の価値を割り引きます。

地域要因

地域の格差に関する要因です。
取引事例が近隣地域でない場合には比較を行います。
「道路状況や交通量、騒音や周辺施設等の環境」といった点が考慮されます。

個別要因

「接道状況、土地の広さ・形、日当たり」といった点が考慮されます。

比較方法

比較方法の例を簡単にご説明します。

例題

実際にBという不動産が1,000万円で売却されたばかりの例で見てみましょう。

不動産Aと不動産Bの敷地面積と築年数は同じものとします。

不動産Bは不動産Aにおける取引価格の比較・検討対象先として最も適しています。
それにより不動産Aの価格は大まかに1,000万円となります。

次に大まかにつけられた不動産Bの価格の修正を行います。

同じ地域であり、敷地面積及び建物の築年数はほぼ同じなので、
この部分に関しては同じ価値とみなし、修正はほとんど行いません。

方位に関して不動産Bは東向きであるのに対して不動産Aは南向きで、しかも角地です。
これらの比較により不動産Aにはプラス要因があるとされ、
最終的に不動産Bには、不動産Aの1,000万円より上乗せされた価格をつけることになります。

取引事例の収集方法

不動産業者(宅地建物取引業者)は

指定流通機構(レインズ/REINS)を利用して
過去の不動産の売買における成約事例を収集しています。

しかし、レインズは宅地建物取引業者しか利用できません。
ポータルサイトなどにあるのは売り出し価格であり、成約価格ではありません。

業者でない個人の方は、
国土交通省の「土地総合情報システム」で調べることができますので、
利用してみてください。

まとめ

取引事例比較法」はどれだけ適切な取引事例が見つかるかどうかで評価が左右されます。
たくさんの事例がある物件と、1つしか事例がない物件では、査定の精度は違ってきますので、
比準価格はあくまで目安の一つとして、固定資産税評価額・積算評価額も参考にしながら、
総合的に価格を判断する必要があります。

固定資産税評価額・積算評価額については
「積算価格ってなに?積算価格の計算兵法は?」で解説していますので、
そちらも参考にしてみてください。