不動産を購入・売却する前に不動産の価格が適正かどうかを知る必要があります。不動産投資をする上で、「積算価格」の算出は重要な作業の一つです。その投資物件が高いのか安いのか、購入金額が妥当なのか、積算価格から判断することができます。ここでは「積算価格」の計算方法を解説します。
積算価格とは?
積算価格は「土地と建物を別々に評価し、それを合わせた評価額」のことをいいます。土地の評価方法としては主に「路線価」「公示価格」「固定資産税評価額」を利用して評価されます。建物については新たに新築した場合の費用から築年数分の減価を差し引いて求めます。このような方法は「原価法」と呼ばれています。
積算価格の計算方法
積算価格の計算方法は
積算価格 = 土地の価格 + 建物の価格
で計算されます。
土地の積算価格の計算方法
土地の価格は以下の3つがあります。
- 公示地価
- 基準地価
- 路線価
これらの価格を土地の形状、接道状況などの要因を事情補正しながら、評価をしていきます。
公示地価
国土交通省が毎年1回公表する1月1日時点での土地価格です。
2名以上の不動産鑑定士が独自に鑑定評価を行って決めた価格なので、土地の価格としてはもっとも正確といわれています。
基準地価
地価公示価格と基本同じです。違うのは、7月1日時点での土地価格ということです。
路線価
国税庁が管轄している土地の評価価格です。路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の二つがあり、「相続税路線価」は公示地価の8割程度、「固定資産税路線価」は公示地価の7割程度で評価されます。それぞれ固定資産税の計算と相続税の計算として利用されます。
実際に計算してみましょう。
では計算方法を簡単にご説明します。
下記のサイトにアクセスします。
次へをクリック。
利用規約は「その他」を選択し、「同意する」をクリック。
固定資産税路線価
左の検索から住所を入力し、「固定資産税路線価等」のタブをクリック。
検索した住所の地図が表示されます。
赤い矢印や青い矢印に記載されている数字が土地の1㎡あたりの固定資産税路線価になります。
上記は大阪市西区新町一丁目の実際の数字です。
検索した住所地に面した道路の数字を見てみましょう。
ここでは「853000」の場合で計算します。
物件の土地面積が100㎡であれば、
853000 × 100㎡ = 8530万円
となります。これがその土地の固定資産税評価額です。
相続税路線価
「相続税路線価等」のタブをクリック。
地図が表示され、道路には「400C」「850B」などの数字が記載されています。
上記は大阪市西区新町一丁目の実際の数字です。
地図の中央が検索した住所地になりますので、そこに面した道路の数字を見ます。
アルファベットはとりあえず無視しておきましょう。
単位は1000円/㎡なので、たとえば980と言う数字は、1㎡あたり98万円と言う意味になります。
これに土地面積をかけることで土地の相続税路線価がでます。
たとえば物件の土地面積が100㎡であれば、
98万円 × 100㎡ = 9800万円
上記がその土地の相続税課税路線価になります。
ただし、あくまで相続税課税路線価を土地評価額と近似して考えているだけですので、あまり過信しないようにしましょう。
公示地価
「地価公示・地価調査」のタブをクリック。
地図が表示されますので、近くの同じ地域に黒い四角や赤い三角の印がないかを地図を縮小したり、移動したりして探してみましょう。見つけたら、そこをクリックします。
すると、ピンが表示され、左に属性情報が出てきます。これがその周辺の標準値となります。
そこに記載されている価格が1㎡あたりの公示地価となります。
上記は大阪市西区新町1丁目の地図で、大阪市西区新町1丁目32-11に標準地が見つかります。
土地面積が100㎡であれば、
850,000 × 100 = 8500万円
これがこの土地の公示地価となります。
実際は標準値と同じ土地とはかぎらないので、100%正確な値ではありません。
土地の形状により積算価格は変化する
上記の例は長方形やそれに近い土地での積算評価ですが、世の中には様々な土地の形があります。土地によって以下のように計算方法が変わります。
角地の場合
角地は土地としての利用価値が高いといわれています。面する道路の中で一番高い路線価で計算した数値に対し、1割増しの評価とします。
土地の両サイドが道路に面している場合
両サイドの道路のうち、価格の高い方の数値を採用して計算します。低い方の数字は無視します。
旗竿地の形にした土地
土地としての利用がしにくい事から、一般的には3割ほど低く評価されます。
旗竿地とは、下記のような形状の不動産です。
建物の積算価格の計算方法
次に建物の積算価格の計算方法です。
建物の積算価格は下記の計算式で計算されます。
建物の積算価格=再調達価格 × 延べ床面積 ×( 残耐用年数 ÷ 耐用年数 )
建物は構造によって評価が変わってきます。
再調達価格
再調達価格は、建物を新たに新築した場合の価格のことです。
構造によって、新築時の単価は決められています。
- 鉄筋コンクリート(RC)・・20万円/㎡
- 重量鉄骨・・・・・・・・・18万円/㎡
- 軽量鉄骨・・・・・・・・・15万円/㎡
- 木・・・・・・・・・・・・15万円/㎡
たとえばRC造であれば、延べ床面積が100㎡の再取得価格は
20万円 × 100㎡=2,000万円
になります。
耐用年数
耐用年数は利用に耐える年数のことです。
こちらも構造によって耐用年数が決められています。
- 鉄筋コンクリート(RC)・・・47年
- 重量鉄骨・・・・・・・・・・34年
- 木造・・・・・・・・・・・・22年
たとえば、築年数17年の重量鉄骨の建物は新築時と比べて、
( 47 – 17 )÷ 47 = 約63.8%
の価値となります。なお、耐用年数を超えた場合は、無価値とみなされます。
再調達価格が2,000万円、築年数が17年の鉄筋コンクリート造の物件は
2000万円 × 63.8% = 1276万円
の評価となります。
土地と建物の積算価格を合計する
これに先ほどの土地の公示地価を合計したものが物件の積算価格になります。
8,500万円(土地) + 1,276万円(建物) = 9,776万円(積算価格)
この評価をもとに銀行は融資をしますので、
積算の出ていない物件には、非常に融資が出にくくなります。
本来の物件価格が実際の価値(積算価格)より低い価格で売りに出ていれば、その物件は割安といえるでしょう。実際の売値と積算価格の比較は、その物件が割安か割高か判断する重要な要素となります。
まとめ
積算価格の計算方法について解説しました。売主がなんらかの事情で売らねばならない物件などは、積算価格を下回る価格で売りに出されることはよくあります。物件を安く手に入れる事が出来れば、不動産投資の成功へ一歩近づくでしょう。