不動産投資の魅力の一つとしてレバレッジを掛けて投資ができるという点があります。
近年ではフルローン(全額ローン)で不動産を購入し、
効率よく資金を運用する方も増えてきています。
しかし一方で、ローンの返済に耐えきれず、不動産をなくなく手放す方も少なくありません。
やはり不動産投資家としても、できるだけ返済の負担は少なくしたいものです。
もし手元に余裕資金があればローンの「繰り上げ返済」を検討してみてもいいかもしれません。
この記事では「繰り上げ返済」について詳しく解説したいと思います。
ローンの繰り上げ返済とは?
ローンは元金(借りた金額)と金利(利息)を合わせた金額を毎月返済していくことになりますが、
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に借入金を前倒しで返済していくことを言います。
繰り上げ返済をすることによって元金にかかる利息が減り、
結果的に返済総額を減らすことができます。
繰り上げ返済はローン残高を一括で返済する「全額繰り上げ返済」と
ローン残高の一部だけを返済していく「一部繰り上げ返済」があります。
全額一括で返済が可能であれば、もちろん「全額繰り上げ返済」が一番良いのですが、
そもそも全額返済が可能なほど余剰資金があれば、高額なローンも組む意味がないので、
退職金などのまとまったお金がない限りは後者の「一部繰り上げ返済」を地道に行っていくことになります。
「一部繰り上げ返済」には、さらに以下の2種類があります。
期間短縮型
「期間短縮型」は毎月の返済額は変わらないまま、返済期間を短くする方法です。
短縮された期間分の利息が軽減されます。
一般的に軽減効果は後述の「返済額軽減型」より大きいと言われています。
返済額軽減型
「返済額軽減型」は返済期間は変わらないまま、毎月の返済額を少なくする方法です。
「期間短縮型」と比較すると返済総額は大きくなりますが、毎月の返済額が少なくなるので、
「毎月のローンの支払いが減る」という精神的なメリットが大きいです。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」どちらがおトク?
繰り上げ返済を検討する場合、どちらがいいのか迷う方もいるかと思います。
結論からいうと、どちらがいいかは一概には言えません。
繰り上げ返済は当然ながら手元の資金を使いますので、
負担が減るからといって、どんどんと繰り上げ返済をして手元の資金がなくなってしまい、
急な出費に対応ができなくなるという状況だけは避けるようにしましょう。
それぞれの返済方法の特徴を抑えて、上手に利用することが大切です。
余裕があり、早期完済を目指したい人は「期間短縮型」
「期間短縮型」は利息軽減効果が大きく、ローンの返済総額をぐっと減らすことができます。
ただし、一度短縮された期間を延長することは原則できません。
金利上昇で返済額がアップしたり、何らかの事情で収入が減ってしまったりした場合、
返済の負担に耐え切れなくなってしまうリスクがあります。
手元の資金に余裕があり、返済総額を効率的に減らして早期完済を目指したい人であれば、
「期間短縮型」がおすすめでしょう。
将来の出費が気になる方は「返済額軽減型」
返済額軽減型は毎月の支払いが減るので、その分資金を貯蓄しやすくなります。
金利が上昇し、返済額が増えた場合であっても、
貯蓄していた繰り上げ資金を返済額軽減型で繰り上げ返済することによって、
金利上昇による返済額のアップを抑えることが可能になります。
毎月の返済額を負担に思う人、子供の教育費などの将来の出費に備えておきたい人などは
「期間短縮型」がおすすめです。
お得感ではなく、無理のない返済方法を選ぶ
どちらが金額的におトクなのかで決めるのではなく、自分の手持ち資金とのバランスを考え、
金銭的にも精神的にも無理のない返済方法を選択しましょう。
繰り上げ返済の際の注意点
その人の考え方や借り方によっては繰り上げ返済をしないほうがいい場合もあります。
繰り上げ返済するにあたって、他にもいくつか注意しておく点があります。
繰り上げ返済手数料
繰り上げ返済にも実は手数料がかかることがあります。
手数料については金融機関によって違いますが、高いものでは数万円かかることもあります。
繰り上げ返済の回数が増えれば増えるほど、手数料もそれだけかかってしまうことがあるので注意しておきましょう。
ローンの借り換え
借りた時の金利によっては「繰り上げ返済」ではなく「ローンの借り換え」を検討したほうがお得な場合もあります。
「期間短縮型」の場合は返済期間が短縮されるので、ローンの借り換えの際に影響があることに注意しましょう。
住宅ローンをご利用であれば、これまでの返済期間と残りの返済期間の合計が10年を切ってしまうと、
住宅ローン控除が適用されなくなってしまうことも頭にいれておくといいでしょう。
団体信用生命保険
団体信用生命保険はローンの返済中に契約者が死亡または高度障害になった場合、
本人に代わって保険会社が残りのローンを全額完済してくれる制度です。
早くにローンを完済することで当然適用されなくなるので、
家族のことなど将来のことを考えた場合、保険として残しておいた方がいい場合もあります。
まとめ
繰り上げ返済について書きました。
繰り上げして返済すれば返済総額の減額効果が大きいので、とても魅力的ですが、
そのために現金が不足して、また新たにローンを借りるとなっては意味がありません。
「手元の資金」「将来の生活」「金利の動向」をふまえた上で、
繰り上げ返済したほうが良いのか、するにしてもどの繰り上げ返済方法にするのか、
よく考えてから利用するようにしましょう。