不動産投資において「減価償却」という言葉はよく耳にしたことがあると思います。
しかし、具体的な仕組みや減価償却費の計算方法までは
よくわからないという方も多くいるでしょう。
「減価償却」を正しく理解することで、不動産投資を有利に進めることができます。
この記事では「減価償却」とは何かをわかりやすく解説してみました。

減価償却の仕組み

減価償却とは?

減価償却は「建物や機器などの固定資産は時間の経過とともに、その価値が減少していく」
という考え方から、購入したその年に全額を費用として計上するのではなく、
使用できる期間に応じて分割しながら費用を計上しようというものです。

原則として10万円以上で使用期間が1年以上のものは、
税務上、その年に全額を費用として計上できないとされています。

簡単な例をあげると、

1,000万円で購入した物件が仮に20年使えるとした場合
その年に1,000万円全額を費用として計上するのではなく、
20年かけて毎年50万円ずつ費用として計上していくことになります。

不動産などの固定資産は1年かぎりの消耗品ではなく、
長期間にわたって使用するものなので、
使用する年数に応じて少しずつ費用として計上するべきだということですね。

土地は減価償却できない

減価償却できるのはあくまで劣化していくものだけなので、
不動産において減価償却できるのは建物であって土地は減価償却することはできません。
仮に1,000万円の物件を購入したとしても、
1,000万円全額を減価償却できるのではなく、
土地の部分を除いた建物の部分のみが減価償却できることになります。

耐用年数

では何年に分割して費用として計上していくのか?ということですが、

その資産が使用できる年数のことを「耐用年数」といいます。
この耐用年数は、たとえば一般の自動車であれば6年、パソコンであれば4年と
法律で決められています。

丁寧に使用すれば、もっと使えるのでは?と思いますが、
それぞれが勝手に耐用年数を変えることができると自由に節税できることになってしまうので、
法律によってきちんと一律に決められているのです。
当然、不動産である建物も耐用年数が決められています。

建物の構造 耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)
鉄筋コンクリート(RC)
47年
重量鉄骨造(骨格材の肉厚が4mm超) 34年
軽量鉄骨造(骨格材の肉厚が3mm以下) 19年
木造 22年

使用目的によって耐用年数は多少変化します。

上記は住宅用の建物の場合です。
詳しくは国税庁のホームページに記載があります。

国税庁:耐用年数表

中古の場合

では仮に築22年が過ぎた木造の物件を中古で購入した場合、
耐用年数は0だから減価償却できないのかということですが、そうではありません。

上記の耐用年数表は「法定耐用年数」といわれ、
主に新築で取得した場合に利用されるものです。

中古で購入した場合は
あと何年使えるかの見積もりが困難であることが多いので「法定耐用年数」ではなく、
「残存耐用年数」というものが利用されます。

簡便法

「残存耐用年数」は「簡便法」といわれる計算方法を用いて
耐用年数を計算することが認められています。

計算方法は以下になります。

・法定耐用年数が過ぎていない場合

残存耐用年数 = ( 法定耐用年数 – 経過年数 ) + 経過年数 × 20%

・法定耐用年数が過ぎている場合

残存耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%

※算出された耐用年数が2年に満たない場合の耐用年数は2年とされ、
2年以上の場合の1年未満の端数は切り捨てられます。

例をあげますと、

鉄筋コンクリート造(RC造)で築19年の中古物件の耐用年数は、

( 47年 – 19年 ) + 19年 × 20% = 31.8年 ⇒ 31年

木造で築30年の中古物件の耐用年数は、

22年 × 20% = 4.4年 ⇒ 4年

ということになります。

なお、築20年4ヶ月など1年未満の端数がある時は月換算で計算してあげます。

鉄筋コンクリート造(RC造)で築20年4ヶ月であれば
( 564ヶ月 – 244ヶ月 ) + 244ヶ月 × 20% = 368.8ヶ月 ⇒ 30.7年 ⇒ 30年

償却率

減価償却費を計算する際には法律で決められた償却率というものを利用して計算します。

償却率には「定率法」「定額法」の2種類があります。

定率法

定率法は毎年一定の割合で減価償却費を計算する方法です。

最初の年ほど減価償却の額が大きく、年とともに額が減少していきます。
最初に多額の費用が計上されるため早期の節税が可能になります。

定額法

定額法は毎年一定の金額を減価償却費として計上していく方法です。

最初から最後まで減価償却費の額は変わりません。
計算が単純で算出がしやすく、定率法より償却額が小さくなるので初期の費用を抑えることができます。

償却率の計算方法

償却率はどちらも自分で計算することは可能ですが、
国税庁のホームページで減価償却資産の償却率を確認することができます。

減価償却資産の償却率表

法改正により、取得した年月日によって償却率は多少変わってきます。

建物の減価償却について

一般的に減価償却の方法は、定額法か定率法かを選べるのですが、
平成10年4月以降に取得した建物については定額法のみとなりました。

また、平成28年度4月1日以後に取得をする建物付属設備や、
建物同様に長期安定的に使用される構築物についても、
定率法が廃止され、償却方法が定額法に一本化されました。

減価償却費の計算方法

不動産の減価償却費の計算は以下の計算式で算出します。

減価償却費 = 取得価格 × 耐用年数に応じた償却率

では、例として以下の物件の減価償却費の計算をしてみましょう。

新築物件の場合

取得価格(建物部分のみ): 2,000万円

建物の構造: 鉄筋コンクリート造(RC造)

築年数: 新築

新築の場合、耐用年数は法定耐用年数になります。
鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数は47年です。


つづいて、耐用年数47年の償却率を求めます。

国税庁のホームページにある減価償却資産の償却率表で償却率を確認します。

※建物については定額法のみの適用になります。

耐用年数47年の建物の償却率は「0.022」です。

上記の減価償却費の計算式に当てはめると、

減価償却費 = 2,000万円 × 0.022 = 44万円

この44万円を47年かけて毎年、減価償却費と計上することになります。

中古物件の場合

取得価格(建物部分のみ): 2,000万円

建物の構造: 木造

築年数: 19年

中古ですので、耐用年数を簡便法にて求めます。

木造の法定耐用年数は22年ですので、

残存耐用年数 = ( 22年 – 19年 ) + 19年 × 20% = 6.8年 ⇒ 6年(端数は切捨て)

この中古物件の耐用年数は6年になります。

これを減価償却資産の償却率表に照らし合わせると、
償却率は「0.167」ということがわかります。

上記の減価償却費の計算式により、

減価償却費 = 2,000万円 × 0.167 = 334万円

この334万円を6年かけて毎年、減価償却費として計上することになります。

まとめ

減価償却について解説しました。
減価償却を正しく理解することで大きな節税につながることもありますので、
不動産投資を行う方は必ず理解しておくようにしましょう。