たとえどんなに優良な物件であっても、空室であれば不動産投資をしている意味がありません。自分で入居してくれる人を見つけられるのであれば問題ありませんが、多くはプロである不動産業者に入居付けを依頼することになると思います。
そんな客付業者が自分の物件を優先的に紹介してくれるようになれば、それだけ空室も早く埋めることができます。
ここでは客付業者が優先的に入居を決めてくれる物件についてお話しします。
客付業者に優先的に紹介してもらうには?
客付業者に優先的に物件を紹介してもらうためには、
やはり客付業者にとって気に入られる物件でなければなりません。
客付業者に気に入られる物件とは、ただひとつ
「客付業者にとってのキメ物件になること」です。
キメ物件とは?
客付業者は賃貸物件を探しに訪れたお客さんに対して、
多くの場合、3つの物件を紹介します。
なぜだと思いますか?
時間的に3件がちょうどいいからということもあると思いますが・・・
実はこれは「コントラストの原理」と呼ばれるテクニックで、
「ひとつのモノだけを紹介するのではなく、あえて比較対象を用意することで、そのモノの価値を相対的に上げる」というビジネスにおいてよく使われる手法なのです。
コントラストの原理
例えば、5,000円の商品と10,000円の商品があります。
ほとんどの人は10,000円は高いと思い、5,000円の商品を買うと思います。
では、この10,000円の商品が実は定価50,000円の商品ということがわかった場合ならどうでしょうか?
10,000円の商品のほうが安くてお買い得に思えてこないでしょうか。
このように見せ方によって価値が180度変わってきます。
人は何か判断をする時は必ず何かと比較しているのです。
客付業者の間でもこのテクニックは決めたい物件をより魅力的にみせるため、当たり前のように使われています。
業者間ではお客さんに紹介する物件を「アテ物件、ナカ物件、キメ物件」などと呼んだりしています。
アテ物件
キメ物件の当て馬となる物件です。
相対的にキメ物件より条件が良くない物件が選ばれる傾向にあります。
案内された人は「ここはイマイチだな・・・」とネガティブな感情になります。
ナカ物件
ナカ物件は良くもなく悪くもない、まあまあの物件です。
キメ物件の前にナカ物件を紹介することで、
「さっきより良いな」と案内された人の感情を盛り上げておきます。
キメ物件
客付業者の本命の物件です。
部屋を探している人に入居を決めてもらう物件になります。
最後に紹介された物件は心理的にいちばん印象に残りやすいので、
どれにするか選択をせまった時に、選ばれやすくなります。
キメ物件に選ばれる物件とは?
営業の人のキメ物件に選ばれることができれば、入居はすぐ決まります。
逆に言えば、アテ物件扱いされると入居を決めるのが困難になります。
では、キメ物件に選ばれる物件とはどんな物件でしょうか。
- 客付けがしやすい物件
- 金銭的なメリットがある物件
この2つがあげられます。
客付けがしやすい物件
営業が「この物件なら入居を決めることができる」と思える物件です。
客付業者としては即日で入居を決めてくれたほうがコストもかからず楽ですので、優先して紹介してくれるでしょう。
客付けしやすい物件の条件を抑えておきましょう。
立地・環境
単身用のワンルームマンションであれば、都心で駅近の物件が賃貸需要もあり、客付けしやすいです。
また、スーパー、コンビニ、銀行、郵便局が近くにあるなどの周辺環境も客付けしやすい要素でしょう。
家賃
いくら立地がよくても、家賃があまりに高すぎると客付業者としてはオススメがしにくいです。営業する側が「条件面も優れているし、なおかつ家賃も安いんですよ、お得でしょ?」というような見せ方ができる条件が理想的です。
また、募集家賃に1000円~3000円ほど自由に調整できる幅を与えてあげるのも効果的です。幅を与えることによって入居を決めようか迷っているお客さんの背中を一押ししてあげることができます。
設備・間取り
その部屋にウリ(特徴)があれば、客付業者もキメ物件として扱いやすいです。
日当たり・角部屋・バストイレ別・オートロック・モニター付きインターホンなどなど・・・挙げていけばたくさんあります。
特に物件自体の位置や共用部分については自分ではコントロールできないので、購入前から意識する必要があります。
女性であればオートロックを意識している人は非常に多いので、できればついているほうが望ましいでしょう。
物理的なウリがない部屋であっても、内装にこだわるなどウリをつけてあげることで営業がしやすくなります。
現場の客付け営業さんが決めやすいようなお部屋に整えてあげましょう。
金銭的なメリットがある物件
客付けする側もビジネスです。
なるべく報酬の高い部屋を決めるほうが効率的です。
仮に部屋探しにきたお客さんの希望にあった物件でなくても、営業する側にとって金銭的な見返りが大きい場合は、優先して物件を紹介をしてくれるでしょう。
代表的なものが広告料(AD)です。
この額が大きければ大きいほど、優先して入居を決めてくれます。
入居を決めて5万円の物件と10万円の物件なら、条件が似ていれば後者を決めたほうが彼らにとっては合理的です。
他にも入居を決めてくれた営業マン個人に商品券をプレゼントしてあげるという方法もあります。
まとめ
客付業者に優先して物件を紹介してもらう方法をご紹介しました。
優先して物件を紹介してもらうには客付けする側にとって魅力的な物件であることが必要です。
広告料などの報酬を増やしてあげることも方法としてはいいのですが、単純に広告料を増やしたところで結局はその物件自体に魅力がなければ選んでくれる人はいません。かと言って広告料をケチるようなことがあれば、客付業者もキメ物件として扱ってくれなくなります。
客付業者をビジネスパートナーとしてお互いに良好な関係を築いていくことがいちばん大事なのではないでしょうか。