不動産経営

サブリース契約(一括借り上げ)のメリットとデメリット

空室リスクの対策としてサブリース(一括借り上げ)の利用を検討することがあると思います。サブリースはオーナーが所有している物件をサブリース業者が一括で借りて、それを入居者へ転貸(また貸し)することをいいます。空室であるかどうか関係なく、設定された毎月の家賃をサブリース業者が保証してくれます。不動産投資において収入源である家賃収入がなくなってしまう「空室」や「家賃滞納」といったリスクは最も対策しなければならないことなので、家賃保証は非常に魅力的に見えますが、じつは問題点も多々あります。今回はサブリース契約のメリットとデメリットについて解説します。

サブリースとは

サブリースはサブリース業者が貸主から物件を一括で借り上げ、それを入居者へと転貸(また貸し)することです。入居者の有無に関係なく一定の家賃が保証されます。

サブリースのメリット

空室リスクを抑えることができる

不動産投資をする上で、最も避けたいのが空室が長引いてしまうことです。
サブリース契約をすることで、契約期間中はサブリース会社が設定された家賃を保証してくれるので、空室や滞納で家賃が入ってこなくなるということがなくなります。契約が続く限り空室リスクがほぼなくなるのはサブリースの最大のメリットといえるでしょう。

管理の手間を省くことができる

サブリース契約をすることで物件管理の手間を省くことができます。
サブリース業者は

  • 入居者の募集
  • 賃貸借契約関連
  • 入退去に関する手続き
  • 家賃の集金業務
  • 入居者の対応
  • 物件の修繕やリフォーム

といった物件の管理をオーナーに代わって行ってくれます。

※ただし、管理費用(修繕費やリフォーム費用など)についてはオーナーの自己負担になります。管理業務の範囲と費用はどうなっているか、契約書をきちんと確認するようにしましょう。

サブリースを活用することで面倒な作業をする必要がなくなるので、オーナーの負担は大幅に軽減されます。

サブリースのデメリット

こうしてみるとサブリースはメリットが非常に大きいようにも思えますが、実際には見えないリスクが存在します。サブリースを活用する際の注意点を以下に挙げます。

家賃が見直しされる

保証家賃が見直されるリスクがあります。
サブリースは20年、30年という長期契約を前提とした契約であることがほとんどですが、ずっと同じ家賃を保証しているわけではありません。サブリース業者が設定した家賃では厳しいと判断した場合は保証家賃を減額されることがあります。
通常は2年に1度を目安に保証家賃が見直されます。家賃の減額に応じないとサブリース契約を解除するとサブリース業者に迫られたりするなどのトラブルも発生しています。
常に一定の家賃が入ってくるとは限らないことを覚えておきましょう

契約解除には違約金が発生する

サブリース契約を解除する際、違約金が設定されているケースがあります。上述したようにサブリースは長期契約であること多いです。契約期間中に物件を売却する場合など、サブリース契約を解除しようとすると違約金が発生することがあります。違約金は家賃の4~6ヶ月分程度になることが多く、思わぬ出費になりかねませんので、サブリース契約をする前には契約書の解除条項をしっかりと確認しておきましょう。

サブリース業者が倒産してしまう

サブリース契約中、サブリース業者が倒産してしまうリスクがあります。
万が一サブリース業者が倒産してしまった場合、様々なリスクを背負うことになってしまいます。
家賃が振り込まれない可能性や入居者が勝手に退去してしまうこともあります。
これを回避するにはサブリース業者の情報をしっかりと集めておくほかありません。
経営状態が悪い業者とは契約しないほうが賢明でしょう。

サブリース契約をする前に

トラブルにならないためにも、サブリースを利用する前には必ず契約内容を確認しましょう。

免責期間

サブリース契約後、家賃がオーナーではなくサブリース業者に入ってしまう期間があります。当然オーナーからすれば、いつ家賃が振り込まれるのか不安になってしまいますので、この免責期間がどれくらいあるのか確認しておきましょう。
一般的には30日~90日に設定されている場合が多いです。

保証家賃の見直し期間

家賃の見直し期間はどのくらいなのか確認しておきましょう。
ただし、たとえ保証家賃が契約書で「10年間据え置く」などの記載があったとしても、10年と経たずに一方的に賃料が減額されるという場合もあります。実際に最高裁でも認めた判例がありますので注意しておきましょう。

解約条項

解約の条件について以下を確認するようにしましょう。

  • 一方的に解約されるような規定になってはいないか
  • 解約の予告期間はいつか
  • 途中で解約した場合の違約金の有無

修繕・リフォーム費用

退去後のリフォーム費用や設備の修繕費用の負担はどうなっているか確認しましょう。一般的にはオーナー負担になっています。

敷金の取り扱い

敷金や保証金などはオーナー、サブリース業者どちらが保管するのか、また業者が保管する場合、ちゃんと別に保管されているのか確認しましょう。礼金や共益費もあわせて確認しておくといいでしょう。

まとめ

今回はサブリースについて書きました。
家賃が保証されるというのがサブリース最大のメリットですが、それと同時に見えないリスクも存在しています。
そもそも空室になりにくい物件であれば、家賃が全額入ってきますし、サブリースのリスクを負う必要もないので、サブリースを利用しないほうが得策といえるでしょう。
安易にサブリースを利用するのではなく、本当に自分の物件にサブリースが必要なのかどうかをしっかり考えるようにしてください。

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